今回ご紹介するのは、半世紀にわたり少林寺拳法に携わり、道院最年長でありながら今もなお成長を続ける小山さんです。
若き日の“猛り”が垣間見える一方で、円熟した視点も感じられる――そんな熱のこもったインタビューをお届けします!
― まずは簡単に自己紹介をお願いします。
小山 実と申します。横浜本郷道院に所属しており、1976年に少林寺拳法を始めました。途中、長期間の休眠もありましたので、実際の活動期間は通算で30年ほどになります。来年で入門から50年を迎えます。

― 差し支えなければ、ご職業も教えてください。
元公務員です。現在は、保育所や障がい者施設を運営する社会福祉法人に勤務しています。
― 少林寺拳法を始めたきっかけを教えてください。
何か習い事を始めたいと思っていたとき、近所に少林寺拳法の道院があったのがきっかけです。理由はシンプルに「ケンカに強くなりたい!」からでした。
― 好きな技や稽古内容はありますか?
胸倉をつかまれたり、無理に引っ張られたりなどの乱暴な振る舞いが嫌いなので、剛法よりも柔法に力が入っています。基本・法形・乱取りなど、どの稽古も楽しいです。今は特に、左右どちらでもできるようにすることと連反攻を意識して取り組んでいます。最近は「少林寺拳法の技を実践で活かすカギは連反攻にあるんじゃないか」と考えるようになりました。
また、全く無駄のない送小手も研究中で、「送小手の動きは逆小手とまったく同じなんじゃないか?」と考えています。こういうことをあれこれ考えるのが、とても楽しいです。


― 少林寺拳法を続ける中で難しかったことは?また、どう乗り越えましたか?
仕事が忙しくなり、道院に通えない時期が続いたため、「もうこれまでか」と少林寺拳法を辞めたつもりでいました。
それから約20年が経ち、ようやく仕事が一段落したタイミングで、「もう一度最初からやってみよう」と白帯を締めて横浜本郷道院を訪れました。すると、ありがたいことに手続き上は休眠扱いとなっており、すぐに復帰することができました。
休眠前に一緒に稽古をしていた拳士と再会できたのは、本当に嬉しかったです。
……ただ、正直なところ、当時の道院長は小学生で一緒に稽古していたはずなのですが、まったく記憶にありませんでした(笑)。
技につまずくことは今でもよくあります。そうしたときは、間々下先生にご指導いただいたり、武専や出稽古、小教区でも指導を受けるようにしています。
― 少林寺拳法を続けてよかったと感じることはありますか?
護身練胆や健康維持といった点で、少なからず効果があったと感じています。
― 少林寺拳法から学んだと感じることはありますか?
「法灯明による自灯明」、すなわち自己確立という考え方が、少しずつ自分の中に根づいてきたように思います。
護身練胆についても、技術を身につけたことで、逆に臆病になったことが、今となっては良いことだったと感じています。
以前は「親爺狩りにあってみたい」なんて思っていた時期もありましたが、今ではそんなことは全く考えません。少しは成長したでしょうか(笑)
― 横浜本郷道院の雰囲気について教えてください。
道院はワキアイアイとしていて少林寺拳法の道院としてとてもいい雰囲気だと思います。


― 稽古以外で印象に残っている出来事はありますか?
毎年夏と冬に行われる暑気払いと忘年会、そして春に開催される高校生との合同合宿が、特に印象に残っています。
年齢も職業も異なるさまざまな人たちとの交流は、いつも良い刺激になっています。
― これからの目標を教えてください。
もう「ケンカに強くなりたい」という気持ちはすでに卒業しました。これからは技術をじっくり楽しんでいきたいです。拳の三訓のうち「破(は)」に挑戦していきたいですね。また、最近になって「本当の強さとは何か」について、少しずつ建前ではなく実感として考えられるようになってきた気がするので、思想的な学びも深めていきたいと思っています。
― 最後に、これから少林寺拳法を始めたい方へメッセージをお願いします。
武道や格闘技に興味はあるけれど、「体力や年齢が心配…」と感じている方も、ぜひ少林寺拳法に挑戦してみてください。少林寺拳法は、自分のペースで無理なく続けられる武道です。
新たな一歩を踏み出せば、これまでに体験したことのない世界が、きっとあなたを待っています。
記事作成日:2025年8月25日